作品と向き合う姿勢は勿論、人柄もとても尊敬できる旧い友人の個展を観に、クリスマスモード全開の六本木までフミ散歩。私は根っ子が工芸な事もあり、美術館やギャラリーなどのホワイトボックスよりも、リアルな生活空間の中で、丁度良い塩梅の役割を担う作品の在り方に興味が強い。そして、今回の会場であるTime & Styleの伝統的な様式や天然素材、腕の良い職人の技術を存分に活かしながら、現在の生活スタイルに寄り添うように役割を再構築された家具達もとても好みでした。久しぶりに心地よい緊張感を纏い、「志」の在る生活空間に酔いしれました。お勧めです。
向井三郎 個展
Saburo Mukai at Time & Style Midtown
ART IN TIME & STYLE MIDTOWN vol.25
会期 : 11月11日(月)-12月10日(火) 11:00 – 20:00
会場: Time & Style Midtown
住所: 東京都港区赤坂 9-7-4東京ミッドタウン ガレリア 3
この度、Time & Style Midtownでは向井三郎氏を迎え、展覧会 ART IN TIME & STYLE MIDTOWN vol.25を開催致します。 向井氏自身が見て感じ取った景色や記憶を主題とし描き出すドローイング作品は、対象を観察することで現れる確かな表現と、 その対象の持つ表面に現れない不確かな部分を作家自身の感性を通すことで描き出す表現とが一体となり、 臨場感のある景色として立ち上がって来ます。
本展では広がりのある店内空間の大壁面に直に作品を描くウォールドローイングを中心に、新作近作のドローイングと版画の作品が展示されます。 壁の向こうにどんな景色が現れるか、是非ご高覧ください。
車にイーゼルや画板を積み込み近くの水辺へ出かける。近年の私の制作は屋外での風景デッサンが中心なのだ。海岸に立ち彼方に広がる空間を見渡す。遮蔽物のない空間に放たれた視線は波をかすめ雲を追いかけ鳥のように飛び回る。
雲の形を捉えようと試みるが、それはひと時も止まらず、画面に目を落とした隙にも形を変えてしまう。いつまでたっても追いつかない視線の軌跡が無数の線となり画面を覆う時、目には見えない空間の流動が現れてくるようで面白い。
向井三郎