フミ3ぽ

「作っ展」の広報設営を終え、午後からは南青山(ギャラリー5610)までフミ散歩。貴重なラフスケッチや試作品も鑑賞でき、子供の美術教育にますます興味が湧く展示となっておりました。さらに、知人のフォトグラファーの個展を観に恵比寿まで少し足を伸ばし、とても有意義で楽しい研究日となりました。

BABY BOOKS – Katsumi Komagata

2024年6月25日(火)〜7月5日(金) 11:00AM〜6:00PM

「展覧会、やりましょう。新作です。」
その言葉通り、毎年新しい作品を発表している駒形克己さんがフランスの出版社グランドペルソナと作った3冊の新作絵本 ≪BON≫ ≪PON PAN≫≪Et après?≫自社の出版社ONE STROKEから数多くの本を発表し、世界の優れた絵本に授与されるボローニャ・ラガッツィ賞で3回の優秀賞など、グラフィックデザイナーとしての経験と感性で絵本世界の広がりに貢献してきました。また、9つの色の画用紙を使うワークショッププログラムを独自に開発。各国での開催に自ら足を運び、多くの人々に<考えて・手を使って・モノをつくる>というその「楽しさ」の体験と、参加者全員がその時間を共有できる場を作り続けてきました。いっぽう、さまざまな出版社と赤ちゃん絵本を制作し、それぞれが世代を超えて読み継がれるものになってきています。
昨年の個展「はじまりとおわり」から、次の世代のはじまりへ贈る展覧会です。

—- Gallery5610


「誰かの手の中で楽しんでもらえるもの、それが自分にとって向いているんじゃないかと思った」そう話していた父、駒形克己。
広告やCIデザインをメインに手掛けてきた父が、子どもの誕生をきっかけに赤ちゃん絵本を制作。それはとてもパーソナルなものだったけれど、そのことがきっかけとなり、「一緒に畑を耕し芽を育てていくように、デザインを育てる。」そんなものづくりに情熱を注いだ。亡くなる約1ヶ月前にフランスから新作の赤ちゃん絵本が発表され、とても喜んでいた姿を思い出す。これからの子どもたち、若い世代のことを常に考えていた父だった。その情熱を多く注いだ本の世界で、赤ちゃん絵本からはじまり、赤ちゃん絵本を最後に今年の春に旅立った父。まだまだやりたいことがたくさんあったことを知っている。父から受け取ったバトンを、これからへ繋いでいきたい。そんな思いを込めて。

—- 駒形あい

駒形克己(Katsumi Komagata) 
デザイナー・造本作家

1953年生まれ。日本デザインセンターを経て、渡米。
ニューヨークCBS本社、シェクターグループなどでグラフィックデザインを手掛ける。
帰国後、娘の誕生を機につくられた本が1990年ニューヨーク近代美術館 MoMAミュージアムショップで発売され、世界へとひろがる。フランスを皮切りに本の個展、ワークショップを世界各地で開催。
本からはじまる世界をコンセプトに、九州大学小児医療センター病棟の環境デザインを手掛け、2006年GOOD DESIGN・ユニバーサルデザイン大賞を受賞。
2003年フランス ポンピドゥーセンターとのプロジェクト、触察絵本「PLIS ET PLANS」をきっかけにハンディキャップに向き合った本づくりをはじめる。2012年手話絵本の制作を開始するも白血病を発病。
骨髄移植を受け退院後、 駒形克己ドキュメンタリー番組がWOWOWプライムにて放送され、国際エミー賞にノミネート。
立教大学、女子美術大学、桑沢デザイン研究所などで後進の指導にあたり、世界各地でプロフェッションを対象にKOMAGATA METHODを取り入れたワークショップを開催。

ニューヨークADC銀賞、パリ PRIZE FOR CREATIVITY、2000年・2010年・2016年3度のイタリア・ボローニャRAGAZZI賞 優秀賞、2002年スイス国際児童図書賞(F.E.E.)特別賞、2006年GOOD DESIGN・ユニバーサルデザイン大賞(九州大学病院小児医療センター病棟の環境デザイン)、2007年GOOD DESIGN賞(つみ木 Block’n Block)他、受賞多数。

2019年 板橋区立美術館にて「小さなデザイン 駒形克己展」開催。その後、福岡 三菱地所アルティアム、岩手県立美術館、足利市立美術館、ヴァンジ彫刻庭園美術館、パリ日仏会館を巡回。

2020年 サントミューゼ上田市立美術館にて 駒形克己「え!ほん」展を開催。その後、2022年 4月 愛知県おかざき世界子ども美術博物館に巡回。2024年3月29日永眠。

※展覧会・作家情報はギャラリーの公式サイトより抜粋させて頂いています。

井田宗秀写真展「EXPRESSWAY」

会期:2024年6月29日(土)~7月6日(土)
開催時間:11:00〜19:00(会期中無休、最終日は17:00まで)
会場:AL(東京都渋谷区恵比寿南3-7-17)
展示構成:池谷修一

飛び去りながら凝結する光景

首都高速道路で見える都市の光景は多くの人にとって既知で、ただ目の前を刹那的に通過する断片にすぎない。われわれは思いのほか同じようなものにしか反応しないものだ。個人的な視覚的興味や、かたち、色への嗜好、シンボルとして際立つ建造物などをなんとなく見ている。いっぽう高速で走る車の中から凝視するまなざしを四方へ向け続けるのは、肉体と精神に極端に負荷がかかる。ただカメラという機械は、写真を生み出す過程でそれを可能にしてくれる。
井田宗秀は、高速を走りながら意識と無意識のあいだで漠然と自覚していた感覚を、実際に首都高を走行しながら写真にすることで視覚化した。その結実が写真集『EXPRESSWAY』で、高度な印刷プロセスを経て精緻な画面からあたかも飛び去りながら凝結したような光景が立ち上がってくる。
展示としての「EXPRESSWAY」では、意識と無意識のあいだで往来する井田の感覚を平面に還元された写真から3次元へ浮上させる試みをする。井田が生み出す強度をたたえた鋭利な都市の断片が展示空間で動き出すさまをぜひご覧いただきたい。
(池谷修一:写真編集者/キュレーター、本展を展示構成)

井田宗秀(いだ・むねひで)
1978年東京都生まれ
12歳より写真に興味を抱き独学で学ぶ。日本大学生物資源科学部卒業。イメージスタジオ109勤務、写真家管洋志師事後、2003年独立。多くのクライアントワーク撮影を手がける傍ら、積極的に作品発表を行う。主なテーマは「広義的な人の行いとその環境」「感覚の視覚化」。(公社)日本写真家協会会員

URL:https://ida.viewbook.com/
Facebook: https://www.facebook.com/idapon7
Instagram: https://www.instagram.com/idapon7

主な個展
2006年 「祈り」~BALI神々と生きる民~(カフェフランジパニ 六本木)
2010年 奄美皆既日食音楽祭写真展 (ギャラリールデコ 渋谷)
2017年 「BREAKINGSCAPE」(銀座・大阪ニコンサロン )(東川賞ノミネート)
2022年 「Road to high」(Maharita 逗子)
    「The shape of sound」(逗子アートフェスティバル)
     (音楽家no.9との共同作品)

出版
2010年 『Party in Legend』発行,TODOROKI
2024年 『EXPRESSWAY』私家版


※展覧会・作家情報はギャラリーの公式サイトより抜粋させて頂いています。