超お薦め!手仕事好きな方に
インドの工芸の変遷と、その未来
2023年11月15日(水) 〜11月26日 (日)
11:00AM〜6:00PM
『オーバーラップOverlaps』は、スタジオ・トルスタとインドの出版社タラブックスによる展覧会です。
デザイナーのカトリオーナ・マカイヴァーと映像作家のアルン・ウルフが運営するスタジオ・トルスタ/Studio Tolstaは、職人の手作業によって工芸品のような絵本を生み出しているタラブックス/Tarabooksのエディトリアル・プロダクトデザイナーでもあります。
本展では、伝統的な手仕事が各地に残るインドと、手織りツイードが生まれた地でありマカイヴァー氏の故郷であるスコットランドのアウター・ヘブリディーズ、ふたつのクラフト文化が融合させて作り出したプロダクトデザインを、製作工程の映像を交えてご紹介します。
想像力と工芸の関係性、抽象性と触知性の相互影響、多様な文化とその文脈の交わり、さらには現代のデザインと伝統工芸の融合、こうしたものの“オーバーラップ”を探る試みです。
熟練の職人が素材を美しく機能的なモノへと昇華させるとき、さまざまな背景が工芸品に織り込まれます。この展覧会がその物語への誘いとなれば幸いです。
オープニングイベントでは駒形克己がナビゲーターとなり、ブロックプリントやシルクスクリーン印刷による本を出版するタラブックスの試みと、スタジオ・トルスタの融合的なデザインをテーマにトークショーをおこないます。南インドのTarabooks ギータ・ウルフと、日本のGALLERY KOMAGATA 駒形克己は、それぞれが小さな出版社として独自に活動を続けています。毎年おこなわれるイタリア・ボローニャブックフェアでの共同出展者として、長年交流を続けてきています。
タラブックスはインド、タミル・ナードゥ州チェンナイを拠点とするライター、デザイナー、製本職人の共同体で、ほとんどのタイトルを社内で制作しています。奥深いインドの民族やフォークアートをテーマに、彼らの伝統的なアートを現代的なデザインと美しい製本で世に送り出すことでご存知の方も多いかもしれません。本の形そのものへの実験的な試みも多く、内容やデザイン、紙や印刷方法にもこだわっています。印刷から製本まですべての工程をハンドメイドで行う本でも有名です。タラブックスの職人への関心は、インドの職人をテーマにした本にも表れています。手ずからモノを生み出すことはインドでは長い間伝統とされてきました。昔ながらのやり方が現在も脈々と息づき、さらには新たな時代やニーズに合わせてしなやかに進化してきました。美しさと機能性の両方を兼ね備えたモノづくりは職人の手があってこそ。その職人の個性、作り方の作法、考え抜かれた工程、さらにはそれを導くためのボキャブラリーに光を当てることには、一見の価値があります。紙の本が衰退していく時代にあって、タラブックスはあえてその職人技とモノとしての触れられる本の価値を広めたいと考えています。