クリスマスの午後、研究室に向かう前に少し寄り道して、平河町までフミ散歩。ものごとの観察、理解、解体、展開、拡張、そしてカタチに落とし込む一連の流れが面白いです。作者の言葉をお借りすると「子供が玩具や手近な物を、その手触りや重さやかたちや機能について堪能したのち、そこからはみ出して新たな景色を立ち上げるような出来事に倣う」との事。なるほどです。
コイズミアヤ「箱と紐と本と」
会期:2024年12月7日(土)~ 2024年12月28日(土)
開催時間:13:00~18:00
休廊:日曜日・月曜日
場所:フラットリバーギャラリー
この度、フラットリバーギャラリーでは2024年12月7日よりコイズミアヤ展を開催いたします。
コイズミの作品から感じられる数学的な佇まいと軽妙なバランス、規則的で非連続性を持った形状、それらはロジカルに構築され立体として絶妙に成立しています。中心が判然とせず周縁のみで構成されているかのような作品は、たどり着こうとしてもたどり着くことのない迷宮のような様相を呈し、全体像とディテールの立ち位置が相互交換されているかのように感じられます。時にカフカの「城」を連想させられるかもしれません。本展では「重なる箱」シリーズと「紐のドローイング」を中心に展示されます。また会期中12月中旬に「しくみの内側のしくみ-思考する手仕事のレシピ」がコトニ社より刊行されます。是非ご高覧賜りますようお願い申し上げます。
世界の成り立ちやその仕組みについて観察し、考えを巡らせるのが好きで、例えば子供が玩具や手近な物を、その手触りや重さやかたちや機能について堪能したのち、そこからはみ出して新たな景色を立ち上げるような出来事に倣おうと考えています。
今回は、箱の本質はそれをかたちづくる板厚だと考えるところから出発した異形の入れ子、「重なる箱」のシリーズと、具体物の抽象的側面に興味をもってつづけている「紐のドローイング」を中心に、そのほかの小品も交えて展示します。
今年のはじめから、料理のレシピを書くようにして、今回の出品作の一部を含む作品の具体的なつくり方を記述することで、自身の近年の制作について振り返る本を執筆していました。しまってあった作品を出してきて採寸し直したり、過去の自分がそれをどうつくったかについて観察して確認したりしました。すると、かくれた部分のほとんどない作風の作品だけれど、それでも何もかもが見えているわけではないことや、物が私からは離れて在ることをあらためて新鮮に感じたりしました。会期中に出版の日を迎える予定でいます。
コイズミアヤ
1971年、東京生まれ。1994年、武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科卒業。本を開くとその中に世界が在る状況から発想し、箱の中に模型的な構築物や風景をしまい込む作品の制作をはじめ、造形を展開。1996年からギャラリーでの個展でほぼ毎年作品を発表。2009年から新潟県長岡市在住