多くの親しい友人達が参加している展覧会を覗きに青山までフミ散歩。30年来の友人も多い為、話も弾む楽しい時間となりました。手仕事好きには特にお勧め!
邂逅 ― 巧術其之拾 ―
日本人ならではの伝統的な技巧・素材をベースに、多様なジャンルで現代的な表現を展開する作品が集結する展覧会シリーズ「巧術」。
先行きの見えにくい昨今においても、より一層たゆまない研鑽で自らの表現の本質を磨き続けるアーティストたちの、新しい価値観創造の可能性を提示する展覧会を、スパイラルでは9年ぶりに開催致します。
会期:2024年11月19日(火)~26(火)会期中無休 11:00-19:00
会場:スパイラルガーデン(スパイラル1F) 東京都港区南青山5-6-23
出展作家(50音順):
足立真輝(紙工木工)
あるがせいじ(紙工)
家長百加(立体刺繍)
磯部勝士郎(鉛筆画)
桐山征士(金工)
児玉香織(油画)
小林淳一郎(金工)
坂田あづみ(刺繍)
佐藤好彦(彫刻)
豊海健太(漆芸)
野田怜眞(漆芸)
原 智(金工)
悠(刺繍)
平井武人(CG)
松本 涼(彫刻)
水野シゲユキ(ジオラマオブジェ)
満田晴穂(自在置物)
森本愛子(日本画)
計18名
主催:株式会社レントゲンヴェルケ
会場協力:株式会社ワコールアートセンター
お問い合わせ:roentgen@gol.com
株式会社レントゲンヴェルケは2018年の「敷衍」大阪開催以来6年振り、故郷であるスパイラルでの開催は2015年の「縹渺」以来実に9年振りとなる「巧術」シリーズ本展を開催します。
スピンオフ展を合わせると2009年以来20回を超える開催を重ねてきたこの「巧術」シリーズ展は、後述の基本理念を通して、時代性を踏まえ、作家の選定を繰り返しながら生き永らえてきました。昨今の工芸的表現に対する高評価の一端を担えたものかとの自負もあります。
パンデミックによる世界の閉塞は一応は終わりを告げたように見えています。しかし文化はその反動による多幸感に振り回されてはいないでしょうか。その表出はあらゆる評価がポピュリズムとエコノミズムに裏付けられているかのような状況に感じ取ることができると考えます。その状況にシンプルに反対することは簡単ですが、既にある種の伝統さえ誇れる「巧術」であるならば、新しい表現の提案こそが正しい姿勢と考え再び展覧会を企画しました。
こうした様々な再会を踏まえ「邂逅」をタイトルとしました。今一度「巧術」の作家、作品群の丁寧さ、慎重さ、繊細さに触れていただければ幸甚です。
「巧術(こうじゅつ)」
日本の美術史はそれ以前からの工芸史、あるいは明治維新以降人工的に形成された美術史、また強引に導入された現代美術の系譜といった、複数の歴史の平行によって、それら自身お互いに引き裂かれているという奇形化された状態にある。
昨今のアジア経済圏の急激な成長をバックボーンに、殊現代美術は単なる投機と消費の対象となり、その結果の安易なコンセプト構築と粗製濫造が、その本来あるべき誇りと気高さを失ってしまった。
西欧的な美術観に於いては、常日頃から言われる、日本人ならではの物理的な細やかさや器用さは、その思想、あるいは感覚に対する言説に比べ、軽んじられてはいまいか?「器用」「工芸的」といった言葉が、いつの間にか侮蔑の言葉になってはいまいか?
こうした危機感、閉塞感、疑念への率直な返信として「巧術」は企画される。
「巧術」は日本人ならではの「技巧」を通して、これまでの美術と一線を画し、新しい価値観創造の可能性を提示する。
エキゾティシズムに基づかない、より日本の美術ならではの在り方をその鍛錬、修練によって、より高いところへ持っていこうとする作家達のプレゼンテーションによって、その未来を具体的に示唆しようとするものである。
キュレーター
株式会社レントゲンヴェルケ 代表取締役
池内務